民法896条は、被相続人の一身に専属した権利は相続の対象となりません。
一身に専属した権利(一身専属権)は、被相続人だけに帰属して、相続人には帰属することの出来ない権利義務のことです。
相続の対象にならない一身専属権の例
使用貸借契約の借主の地位 (民法599条)
代理の本人・代理人の地位 (民法111条)
雇用契約の使用者・被用者の地位 (民法652条2項)
委任契約の委任者・受任者の地位(民法653条)
組合契約の組合員の地位(民法679条)
親権者の地位(民法820条)
扶養の権利義務(民法877条)
生活保護給付の受給権者の地位 (最高裁、昭和42年5月24日)
公営住宅の借主の地位 (最高裁、平成2年10月18日)
身元保証人の地位(既に相続発生前に確定している債務は、相続の対象)
根保証契約の保証人の地位
極度額と期間について定められていない場合
相続発生前に確定している債務は,相続の対象です。
特段の事情のない限り、相続人に承継されないと考えられています(最高裁、昭和37年11月9日)。
極度額が定められている場合、保証期間のみが定められて場合
相続の対象と考えられています。
参考条文 民法896条
(相続の一般的効力)
第八百九十六条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
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